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横浜地方裁判所 昭和58年(ワ)2549号 判決

原告

鈴木清壽

三好八岑

三好禮子

今成鈿女

三好豊海

三好明人

三好青根

三好龍日子

野村誠之

長野實

安井常義

菅原正

日下部治郎

竹谷み子

山本政男

岡島時代

瀧川昇二

鈴木通義

大澤三千尋

右一九名訴訟代理人弁護士

猪股正幸

寺島由子

被告

日本道路公団

右代表者総裁

鈴木道雄

右訴訟代理人弁護士

井関浩

右訴訟復代理人弁護士

大木健

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告らに対し、別紙請求金額内訳明細書中、合計請求金額欄記載の各金員及びこれに対する昭和五八年一二月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文一、二項同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

(一) 原告ら

(1) 原告鈴木清壽は、昭和三一年三月二八日別紙物件目録記載(一)及び(二)の各土地(以下「本件(一)、(二)土地」という。)の所有権を取得し、そのころ右各土地上に自宅を建築し、以後、同所に居住している。

(2) 原告野村誠之は、昭和三二年一二月二六日、訴外神奈川県住宅供給公社(以下「訴外公社」という。)から別紙物件目録記載(三)の土地(以下「本件(三)土地」という。)及び同地上の建物を買受け、その際同時に訴外公社から分譲地内の道路である別紙物件目録記載(五)の土地(以下「本件(五)土地」という。)につき、その持分二四分の一の譲渡を受け、以後、同所に居住している。

(3) 訴外三好猛雄は、昭和三二年一二月二六日訴外神奈川県住宅供給公社から別紙物件目録記載(四)の土地(以下「本件(四)土地」という。)及び同地上の建物を買受け、その際同時に訴外公社から分譲地内の道路である本件(五)土地につき、その持分二四分の一の譲渡を受け、昭和三三年春ころ居住を開始した。

三好猛雄は昭和五八年四月二六日死亡し、本件(四)土地につき、原告三好禮子が一二分の六、同今成鈿女、同三好豊海、同三好明人、同三好青根及び同三好龍日子が各一二分の一の割合でそれぞれ相続し、また本件(五)土地の持分につき原告三好禮子が相続した。

(4) 原告長野實、同安井常義、同菅原正、同日下部治郎、訴外竹谷勇、原告山本政男、訴外岡島辰興及び同斎藤栄勝は、昭和三二年ないし同三五年ころ訴外公社から分譲地内の道路である本件(五)土地につき、それぞれその持分二四分の一の各譲渡を受けた。

訴外竹谷勇は昭和五三年三月六日死亡し、原告竹谷み子が竹谷勇の右持分を相続した。

訴外斎藤栄勝は昭和三六年九月六日同訴外人の右持分を訴外国原利夫に売渡し、訴外国原利夫は昭和五三年七月三一日には原告瀧川昇二に対し、同年一〇月一六日には原告大澤三千尋に対し、同年一一月四日には原告鈴木通義に対し、それぞれ本件(五)土地の持分各七二分の一を売渡した。

(二) 被告

被告は、昭和三一年四月一六日、日本道路公団法に基づき「通行または利用について料金を徴収することができる道路の新設、改築、修繕その他の管理を総合的かつ効果的に行うこと等によって、道路の整備を促進し、円滑な交通に寄与すること」を目的として設立した特殊法人である。

2  横浜新道の建設

(一) 被告は、国道一号線保土ケ谷バイパス道路(昭和三四年一〇月二八日供用開始、通称横浜新道、以下「横浜新道」という。)を開設するにあたり、別紙物件目録記載(一)ないし(五)の各土地(以下「本件各土地」という。)の地下に、道路用トンネルとして「保土ケ谷隧道」(以下「本件隧道」という。)を掘削し、本件各土地の形状を変更するとともに、本件各土地の地下の占有を開始した。

(二) よって、被告は、本件隧道の掘削・占有により、原告らの本件各土地の地下所有権を侵害しているから、国家賠償法一条に基づき右掘削により原告らの被った損害を賠償する責任がある。

3  道路公害による侵害

(一) 侵害行為

(1) 交通量

横浜新道は昭和四〇年代以降、自動車保有台数の急増とともに通過車両数が増加し、現在の一日当たりの自動車交通量は、上下線合計約一三万台以上となっており、うち貨物自動車の混入率が四七パーセントを占めている。

(2) 大気汚染

横浜市公害対策局が、昭和五八年九月から一〇月にかけて、原告らが居住する横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目付近の地区(以下「本件地区」という。)における騒音・振動、自動車排出ガス、汚染浮遊粒子状物質につき測定調査(以下「横浜市調査」という。)を行ったところによれば、本件地区の大気中の二酸化窒素が、昭和五三年七月一一日環境庁告示の環境基準値(以下「環境基準値」という。)である一時間平均値0.04ppmから0.06ppmの許容範囲を超えて0.08ppmに達していること、及び浮遊粒子状物質が環境庁告示の右環境基準値を超えている状況にあることが判明した。

右の数値は、横浜新道を通過する自動車が排出するガス等に起因する大気汚染が、著しく進行していることを示すものである。

(3) 騒音・振動

横浜市調査の結果によれば、本件地区における道路騒音は現在終日を通じ六〇ないし七〇ホンの間にあり、特に午前四時から午前六時までの間の大型自動車の通過による騒音の増加が著しいことが判明した。

本件地区は第一種住居専用地域に該当するところ、右道路騒音は第一種住居専用地域に用途指定された二車線を有する道路又は、二車線を超える車線を有する道路に面していない地域における環境基準値である昼間五〇ホン、朝夕四五ホン、夜間四〇ホンをはるかに超えるばかりか、環境基準よりも基準の低い騒音防止法に基づく要請限度をも超えている状況にある。

(二) 受忍限度について

横浜新道から生じる大気汚染及び騒音・振動により原告らにもたらされた被害(以下「本件被害」という。)は、次のとおり受忍限度をはるかに超えるものである。

(1) 本件地区一帯は、原告らが居住を開始した昭和三二年当時、藤沢・常盤台風致地区の一部として厳格な環境保全が求められていたほか、現在も都市計画法上の第一種住居専用地域(建蔽率六〇パーセント、容積率一〇〇パーセント、第一種高度地区)に指定されており、横浜市でも第一級の良好な住宅環境を有するものである。

右のような本件地区の地域的特性や環境悪化の原因等を総合して判断するところ、本件地区においては環境基準値以上の良好な環境が要求されるべきであるから、受忍限度の判断にあたっても同様の基準が用いられる必要がある。

(2) 侵害の態様と程度

原告らの生活環境は、横浜新道を通行する自動車から発生した騒音・振動及び大気汚染により根本的に破壊され、ことに大気汚染については、本件地区では老人や子供に通称「峰岡ゼンソク」と称される喘息症状を訴える者が多く、中には医師から峰岡町から退去しない限り完治困難と診断される者もいる程である。

(3) 被害防止措置

被告は、原告らの居住環境の悪化による被害の発生を横浜新道の管理運用を通じて知りながら漫然とこれを放置し、今日に至るまで具体的な被害防止策をとることなく、被害に対する賠償もしていない。

また、被告は、原告らの本訴提起と相前後して急遽本件隧道の原告居住地側入口付近に金属防音壁の設置工事を行ったが、右工事は被害防止対策としては遅きに失するうえ、実効性に乏しく、防音壁設置後も本件地区における騒音のレベルは一向に変化せず騒音防止上の効果がないばかりか、一部地域ではかえって騒音が増加するという新たな被害を生じている。また、右防音壁の設置によって、通風や眺望の阻害が生じ、かえって居住環境が悪化してしまった状況にある。

(三) 被告の責任

(1) 被告は横浜新道開設当時、原告らが本件各土地を所有し同所に居住していることを了知し、住居地域である本件地区内に自動車専用道路を通過させるに際し、大気汚染や騒音公害が発生することを十分予見することができたのであるから、本件地区が原告らの居住に適するように右道路を設置管理する等して公害発生を防止するよう配慮すべき義務があったのにこれを怠り、本件被害を発生させた。

(2) したがって、被告には横浜新道の設置管理に瑕疵があるというべきであるから、原告らに対し国家賠償法二条一項に基づき原告らが本件被害によって被った損害を賠償する義務がある。

4  損害

(一) 地下所有権侵害

(1) 地下使用料相当額

原告らは、前記のとおり、被告が原告ら所有の本件各土地の地下に本件隧道を掘削し、地下を不法占拠したことにより、本件各土地の地下使用料に相当する金額の損害を被っている。

そして、本件隧道開削当時の昭和三二年から本訴提起時までの原告所有各土地の価格の平均は一平方メートル当り金一三万七二七三円(ただし、原告菅原、瀧川、鈴木通義、大沢の四名が所有する各土地の価格の平均は、一平方メートル当り金二五万七五七六円である。)であり、本訴提起時までの年間地下使用料相当損害金の割合は、右平均土地価格の1.8パーセントとするのが相当であるから、原告ら各自が被った損害額は、平成二年一〇月三〇日現在で別紙使用料相当損害金一覧表記載のとおり、合計金一億六九二〇万七五五二円となる。

(2) 形状変更に基づく損害

本件隧道は、本件各土地の地下約七メートルの部分に概略南北方向に二条の帯状に開設されているため、原告らは、本件各土地につき、井戸・地下室の掘削、地下駐車場の建設等の地下利用が不可能となったほか、地上の利用についても高層重量建物の建築及び大型機械搬入による工事が全く不可能な状況にあり、土地の使用について大幅な制約を受けている。また、本件隧道が存在することの結果として、原告らは、本件各土地の陥没や隧道内の自動車事故による建物の損壊の危険にもさらされている。

したがって、原告らは、別紙土地の形状変更等による損害金一覧表記載のとおり、平成二年一一月三〇日現在で土地の時価の三割に相当する合計金三億一三一一万九五〇一円の損害を被っている。

(二) 道路公害による損害

原告らは、横浜新道通過車両から発せられる前記騒音・振動・排ガス等により本件被害を受け、このため多大な精神的苦痛を被った。

そこで、原告らが本訴提起までに被り、また将来被るであろう精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の金額としては、月額二万円をもって相当とするから、平成二年一一月三〇日現在の合計金額は、別紙環境破壊等による損害金一覧表記載のとおり、金五一五二万円となる。

5  結論

よって、原告らは被告に対し、国家賠償法一条及び二条一項に基づき、前記4記載の各損害のうちの一部請求として、それぞれ請求の趣旨記載の各金員の支払を求める。

二  請求原因に対する認否及び被告の主張

1  請求原因1記載の事実のうち、(一)は不知、(二)は認める。

2(一)  同2(一)記載の事実は認める。

横浜新道は、一般国道一号線の横浜市市街地通過部の交通混雑を緩和するためのバイパスとして、昭和二八年ころから国(建設省)において計画され、本件隧道付近については昭和二九年ころから地質調査及び現地測量が実施されていたものであるが、昭和三一年四月被告が設立されるとともに、被告が右調査事業を建設省から引継ぎ、同年七月一〇日現場事務を担当する東京支社横浜バイパス工事事務所を設置した。そして被告は、同年七月道路整備特別措置法六条に基づき一般国道の管理者である横浜市長に横浜新道の新設の協議をし、同年八月横浜市長から協議に応諾する旨の回答(横浜市長が協議に応じるためには、市議会の議決を経たことは当然である。同条二項参照)を得たうえ、昭和三二年一月建設大臣に対し同条三条に基づき有料道路「戸塚道路」(横浜バイパス)の事業変更許可の申請をし、同月三一日建設大臣よりその許可を得、同年五月一六日工事開始の公告をしたうえで工事に着手したものである。

横浜新道の工事は全体が三工区から成り、そのうちの本件隧道を含む第一工区の工事は、被告が建設省に委託して行ったものであるが、本件隧道に関する右委託工事は、昭和三二年七月三一日に着工され、同日から翌三三年一二月二五日までの約一年五か月間に導坑掘削、切拡掘削、巻立、照明設備埋立工、排水管敷設等が施工された。

そして、横浜新道は昭和三四年一〇月二八日に供用開始となった。

(二)  同2(二)は争う。

土地所有権は、その行使について利益が存する限度においてのみ土地の上下に及ぶものと解すべきである。

3  請求原因3(道路公害)について

(一)(1) 同3(一)(1)のうち、昭和四〇年代以降横浜新道の通過車両数が増加したことは認め、その余は争う。

被告が昭和五八年一〇月一二日午前七時から翌一三日午前七時までの二四時間について横浜新道の栗ノ沢跨道橋(保土ケ谷隧道西入口から約1.9キロメートル戸塚寄り地点)において調査した交通量は別紙記載のとおりである。

(2) 同3(一)(2)のうち、二酸化窒素にかかる環境基準値が0.04〜0.06ppmのゾーン内またはそれ以下と定められていることは認め、その余は争う。なお、二酸化窒素に係る右環境基準においては、達成期間が定められており、一時間値の一日平均値が0.06ppmを達成するための期間は、原則として七年以内とされていることに留意すべきである。

また、被告が、本件隧道の東京側出口付近(横浜国立大学グラウンド内)において昭和六一年から同年一二月までの一年間にわたり測定した結果によれば、本件隧道付近における二酸化窒素及び一酸化炭素は、いずれの月においても環境基準を達成している。

(3) 同3(一)(3)は争う。

(イ) 騒音に係る環境基準においては、第一種住居専用地域を含む主として住居の用に供せられる地域であるA地域のうち、二車線を有する道路に面する地域については、昼間六〇ホン(A)以下、朝夕五五ホン(A)以下、夜間五〇ホン(A)以下と定められている訳ではない。

(ロ) なお、右環境基準において「道路に面する地域」とは当該道路より発する道路交通騒音の影響を受ける地域と解されるから、横浜新道より発する道路交通騒音の影響を論ずる限り、原告らの居住地は二車線を超える車線を有する道路に面する地域の基準値が適用されなければならない。

(二) 請求原因3(二)(受忍限度)について

(1) 同3(二)(1)のうち、本件地区一帯がかつて峰岡風致地区として横浜市都市計画風致地区に指定されていた(昭和一六年五月三日内務省告示二三九号)ことがあること(ただし、現在では指定がない。)、および現在も都市計画法による用途地域が第一種住居専用地域に指定されていること(ただし、具体的な建蔽率及び容積率が原告ら主張のとおりであること並びに第一種高度地区であることを除く。)は認め、その余は争う。

(2) 同3(二)(2)は争う。

(3) 同3(二)(3)(被害防止措置)のうち、被告が本件隧道の入口付近に防音壁の設置工事をしたことは認め、その余は争う。

(4) 受忍限度について

受忍限度を判断するに当たっては、侵害行為の態様と侵害の程度、被侵害利益の性質と内容、侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較検討するほか、侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況、その間に採られた被害防止に関する措置の有無及びその内容、効果等の事情をも考慮し、これらを総合的に考察してこれを決するべきである。

被告は、横浜新道を通行する車両によって原告らに被害が生じている事実を争うものであるが、仮に何らかの被害ないし影響(横浜新道を通行する車両に起因する騒音・振動が原告居住家屋に波及していること自体は争わない。)が生じているとしても、以下のイないしニの事情を総合的に考察するときは、このような影響ないし被害は、現在の都市生活者としては受忍さるべき限度内のものと言わなければならない。

イ 環境基準の性格

原告らは、環境基準を根拠として、環境基準値を超える大気汚染、騒音及び振動により受忍限度を超える被害を受けたと主張するが、環境基準は公害対策基本法九条に基づき「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」として定められている行政上の目標としての基準であり、許容レベルや受忍限度を定めたものではない。従って、仮に環境基準値を超える大気汚染や騒音が存在したとしても、それだけで人の健康や日常生活を害するものではない。

また、環境基準は、右のように目標値として設定されたものであって、現実的に直ちに達成できない場所については、達成期間を定めてその達成に努めるよう求めているところであるが、いまだに達成することが困難な状況にある。

ロ 原告らの被害について

原告らの本件各請求は、各原告が横浜新道を通行する車両に起因して大気汚染や騒音により身体的、精神的な被害を受けたとして、その損害賠償を請求するものと解されるから、個々の原告がいかなる、どの程度の侵害行為を受け、どのような損害を受けたかについては、原告らにおいて個々具体的に立証すべきところ、本訴においては個別的具体的な被害の立証はない。

ハ 横浜新道の公共性

横浜新道は、一般国道一号線のバイパスとして、横浜市の最重要幹線道路網を形成し、一日約一一万台の自動車が通行するものであるから、人及び物の交通施設として高度に公共性を有する道路である。今仮にこの道路が存在しないとすると、横浜市内の道路は、交通渋滞のためマヒ状態となることは必至であって、横浜市以西の交通体系を考える場合に横浜新道を度外視しては考えられない重要な役割を果しているのである。

また、昭和四〇年代になって、横浜新道を通行する車両が著しく増加したことから、被告は円滑な交通を確保するため昭和四〇年代後半から本件道路の幅員を拡幅し、中央分離帯を設ける等交通の安全と確保に努めてきたところであり、更に現在、本件隧道部分についても幅員の拡幅を計画中である。

ニ 公害防止の努力について

被告は、横浜新道沿線の住居のある部分について騒音対策として順次遮音壁を設置し、被害の防止に努力しているところであり、本件隧道西入口部についても、沿線住民の陳情を受けて昭和五八年一一月にその上部に高さ四〜五メートル、厚さ9.5メートル、アルミ合金製の遮音壁を約八七〇万円の費用を投じて設置した。さらに、現在策定中のトンネルの拡幅工事に伴う本件道路の改修計画においては、環境対策について十分な施策を講ずるべく検討中である。

(三) 請求原因3(三)は争う。

原告らは、被告が横浜新道開設当初から原告らの主張する被害(これを認めるものではない。)を予見できたのに建設し、その後もこれを放置していると主張するが、横浜新道の建設に着手した昭和三二年当時において、今日のような自動車の著しい普及を予測することは不可能であった。

4  請求原因4(損害)について

(一) 同4(一)の事実は否認する。

(1) 本件隧道の存在は、その地上における通常の建物の建築には何らの支障を及ぼすものではない。なお、原告らは、本件隧道の存在によって高層建築物の建設が不可能になった旨主張するが、もともと原告らの居住地区は第一種住居専用地域で高度制限があり、高層建築物の建設は制限されているのであるから、原告らの右主張は当を得ない。したがって原告らは、被告の本件隧道の設置、使用によって、本件各土地の通常の利用を制限されているものではないから、原告らに損害が発生する余地はない。

(2) また、原告らが主張する本件各土地のうち、被告の設置した本件隧道が存在する部分は、別紙添付図面(一)表示の範囲であって、原告らの主張する土地の地下全体ではない。

(二) 同4(二)の事実は否認する。

三  抗弁

1  本件隧道工事についての施工承諾

(一) 本件隧道工事施工当時には、一般に道路の隧道建設に際し、隧道坑口付近等隧道の建設によって土地の通常の利用が妨げられる部分については、当該部分の土地の所有権等の土地使用権限を取得するが、その深部を隧道が通過するにすぎず、土地の通常の用法に影響のない土地については、路線の選定時及び設計協議時に地元住民及び土地権利者に工事概要等の説明をして、隧道施工について承諾を得て工事に着手し、隧道工事完成後これを供用してきたのである。このような取扱は、道路という公共性の高い施設の建設及び利用に対してやむを得ない土地所有者の私権の公共の福祉に基づく制約と観念され、長年にわたって行われてきたところであり、土地所有者等から格別の異議も申し立てられることなく経過してきたのである。したがって、土地の通常の使用に影響を及ぼさないような深部の道路隧道の建設、使用については、それらが有する公共性のために、土地所有者の受忍すべき範囲として社会的な合意が存在したといい得るのである。

(二) 被告もその設立後このような社会的慣行に従って、土地所有者の承諾を得て道路隧道の建設をしてきたのであって、以下に述べるとおり本件隧道の建設及び使用についても例外ではないのであるから、この建設及び使用を違法と言われる筋合はない。

イ 本件(一)(二)の土地について

建設省の職員は昭和二九年ころから所有者である原告鈴木の了解を得て右二筆の土地につき立入り測量を行ったほか、被告は昭和三二年一二月一〇日原告鈴木から、本件隧道工事に伴う坑口付近の道路付替用地として、峰岡町旧三八一番二一の土地の一部を分筆のうえ売買により取得し、同月一三日所有権移転登記を行った。

これらの立入測量、用地買収に際し、被告は原告鈴木に工事概要及び工事施工の方法等を充分に説明したうえ、原告鈴木から本件隧道施工について口頭による施工承諾を得ていた。

ロ 本件(三)ないし(五)の土地について

被告は昭和三一年春から秋ころまで右三筆の土地の所有者であった訴外公社との間で本件隧道建設に伴う協議を行い、この協議の中で、訴外公社から本件隧道施工についての口頭による承諾を得た。

訴外公社は右協議の後右三筆を含む一帯の土地を宅地に造成し、この土地上に家屋を建築してこれを分譲した。原告三好八岑外六名、原告野村誠之及び原告長野実外一一名又はその先代は、昭和三三年五月ころこれを買受けたものと考えられるところ、その当時本件隧道はほとんど完成していたのであるから、右原告ら又はその先代は、本件隧道の存在を知りながら右土地を取得したものである。

2  地下地上権の時効取得

被告は抗弁1のとおり、当時の土地所有者らであった原告鈴木及び訴外公社から本件隧道の施行承諾を得た上、昭和三二年七月三一日本件隧道工事に着手し、昭和三四年一〇月二八日本件隧道の供用を開始した。

被告は、本件隧道の設置、使用に関し、本件各土地のうち、別紙区分所有権目録記載の範囲について、遅くとも供用開始後二〇年を経過した昭和五四年一〇月二七日には前記範囲について本件隧道設置のための地上権を時効取得した。

被告は、本訴において右取得時効を援用する。

3  消滅時効

本件隧道は、昭和三三年一二月二五日完成し、昭和三四年一〇月二八日供用を開始したものであり、原告鈴木は供用開始時から、その他の原告ら及び原告ら先代はその居住開始時から、それぞれその所有土地の地下に本件隧道が設置されている事を知っていたのであるから、原告らが本訴を提起した昭和五八年一二月七日において、右時点から三年以前である同五五年一二月六日以前の損害についての請求権は、時効により消滅している。

被告は、本訴において右消滅時効を援用する。

四  抗弁に対する認否

1(一)  抗弁1(一)記載の事実は不知。

(二)  同1(二)の柱書の主張は争う。

イ 同1(二)イのうち、被告が峰岡町三丁目三八一番二一の土地の一部を原告鈴木より分筆して取得し、昭和三二年三月一三日に所有権移転登記を経由した事実は認め、その余は否認する。

ロ 同1(二)ロのうち、峰岡町三丁目三八一番四六、四五、六二の各土地が昭和三三年五月ころまで訴外公社の所有であったこと、原告鈴木を除く原告らが右三筆の土地を取得した当時本件隧道がほとんど完成していたこと及び右原告らは本件隧道の存在を知りながら右土地を取得した事は否認し、その余は不知。

2  抗弁2は争う。

本件隧道は、被告が本件各土地につき何らの権原なくして設置した工作物であるから、その所有権は本件各土地に附合し、原告らにそれぞれ帰属する。

地下の区分地上権は、昭和四一年の民法一部改正により民法二六九条の二が新設されて初めて物件として認められたものであるから、被告が昭和三四年一〇月二八日から区分地上権の時効取得のため本件各土地の地下の一部を占有することは物件法定主義に反しありえないほか、区分地上権の範囲は土地を階層的に区分した標高(東京湾の平均海面から水平面の高度)によってのみ特定されるものであり、被告主張のごとく一筆の土地の地下部分に座標点を設定して立体を特定する方法による区分地上権の設定及び登記は認められていない。

仮に被告が本件隧道を所有し、又は本件各土地の地下中の本件隧道部分を昭和三四年一〇月二八日以降占有していたとしても、右占有は、本件各土地地下における本件隧道部分の区分地上権を行使する意思によるものとは認められず、その態様も強暴・隠秘な占有であるから、時効取得の要件を欠くものである。

3  抗弁3は争う。

原告らは、昭和五八年夏ころ被告から本件隧道の拡幅計画を発表されるまでは、本件各土地の地下に本件隧道が通っていること及び原告居住地区の環境状態を知らなかったものであるから、損害及び加害者を知ることはできなかった。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因1について

1  〈書証番号略〉並びに原告鈴木清壽、同野村誠之及び同三好八岑各本人尋問の結果によれば、請求原因1(一)の事実を認めることができる。

2  同1(二)の事実は、当事者間に争いがない。

二請求原因2(横浜新道の建設)について

請求原因2(一)の事実は当事者間に争いがなく、〈書証番号略〉並びに証人須田政男及び同杉崎治の各証言を総合すると、以下の事実が認められる。

1  横浜新道は、一級国道一号線の横浜市市街地通過部分の混雑を緩和するためのバイパスとして、昭和二八年ころから建設省で計画され、同二九年ころから建設省職員によって道路部分の測量・調査が行われていたが、被告が昭和三一年四月発足するとともに建設省から右事業を引き継ぎ、当初の計画区間を横浜市保土ケ谷区常盤台付近から同市戸塚区上矢部町(旧戸塚道路)に至る総延長八七四九メートルの区間に変更した(昭和三二年一月事業変更許可申請)うえ、同年四月一日工事に着工し、昭和三四年一〇月ころ完成、同月二八日供用開始に至った。

2  右のうち本件隧道部分の工事は、昭和三三年七月三一日着工され、同三三年一二月二五日に掘削工事が終了した。なお、横浜新道の工事は第一工区から第三工区までの三区間に分けて行われたが、本件隧道部分を含む第一工区は、当初建設省が計画した区間であることから、被告が建設省に委託して工事を行い、それに伴い建設省関東地方建設局京浜工事事務所(以下「京浜工事事務所」という。)が用地買収等を担当した。

3  (本件隧道の位置及び構造)

(一)  本件隧道は、横浜市保土ケ谷区常盤台から同区峰岡町に至る延長一八五メートルの道路用トンネルであり、上下線各一本から成り立っている。各トンネルの横断面は幅8.3メートル、高さ5.3メートル(いずれも側壁部分を除く。)のアーチ状であり、両トンネルの側壁間の距離は約六メートルである。

(二)  本件各土地は、いずれも本件隧道の戸塚側(南西部)出口付近の山上にある。本件隧道は、本件各土地の地下を別紙添付図面(一)のとおり概略南北方向に二状の帯状に通過しているが、うち、上り線が本件(一)、(二)、(三)、(四)各土地の地下を、下り線が本件(一)、(三)、(四)、(五)各土地の地下をそれぞれ通過している。

(三)  本件各土地付近は北側が高く南側が低い傾斜地であることから、本件隧道側壁の頂点は、北端の本件(三)土地(原告野村誠之宅)の地表面下19.8メートル、本件(四)土地(原告三好八岑宅)の地表面下17.2メートル、本件(一)、(二)各土地(原告鈴木清壽宅)の地表面下9.1メートルの位置をそれぞれ通過し、本件(五)土地付近では北側において地表面下19.4メートル、南側において地表面下9.2メートルの位置を通過している。

以上の事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

三本件隧道工事についての施工承諾の主張について

1  本件(一)、(二)の土地について

(一)  前記認定事実に〈書証番号略〉並びに証人須田政男、同杉崎治及び同児島洋治の各証言を総合すると、以下の事実が認められる。

(1) 京浜工事事務所は、横浜新道の工事発注に先立つ昭和三〇年ころから本件各土地付近において、道路通過予定地の現地測量を開始し、昭和三一年ころには本件隧道予定地上から地下に向けてボーリング調査を行った。昭和三一年当時、本件各土地周辺には原告鈴木清壽の居宅以外に住宅はなく、松林が残っていた状態であり、訴外公社による宅地造成もまだ行われていなかった。

また、昭和三一年ころ、工事担当者は現地測量のため本件(一)、(二)各土地に立入り、原告鈴木清壽に依頼して測量用の杭、赤白ポール等を保管してもらったことがあった。

(2) 京浜工事事務所は、昭和三二年ころから本件隧道付近の土地の用地買収交渉に入ったが、当時における用地買収等の実務では、隧道工事の場合には、坑口付近のように隧道の設置により土地の通常利用が著しく阻害される区域については用地買収の対象とするが、隧道部分のように通常の土地利用を阻害しない部分については、所有者から工事説明会等で口頭による起工承諾を得ることによって土地の使用権を取得したものとして、特に補償を行うことなく工事に着手する取扱が慣行となっていた。そして、当時「建設省の直轄事業の施工に伴う損失補償基準(昭和二九年五月改定)」及び被告の用地補償基準である「日本道路公団用地補償内規(昭和三一年七月制定)」にも、土地の地下利用に関する補償基準の定めはなかった。

(3) そこで、京浜工事事務所工事用地買収係長であった訴外須田政男(以下「須田」という。)ら用地担当者は、昭和三二年六月ころ、工事予定地の付近住民及び地権者を招集して第一回説明会を開催し、横浜新道の工事概要を説明するとともに用地買収計画を発表した。その際、右須田らは住民らに対し、本件隧道の通過位置を説明したうえ、当時の右買収等の実務慣行に従って、隧道上の土地のうち隧道の出入口に該当する部分のみを買収し、その余の部分は買収の対象にも補償の対象にもならない旨説明したが、この点について住民から異議は出なかった。

(4) 昭和三二年七月ころ、買収予定地の地権者により対策委員会が結成され、建設省との間で買収折衝が開始された。原告鈴木清壽は、本件(一)、(二)各土地を含む旧峰岡町三八一番二一の一部が本件隧道坑口付近の道路の付替道路用地として買収対象地に入っていたことから、地権者の一人として京浜工事事務所との間で買収折衝を行い、その際、京浜工事事務所の用地担当者から、買収の理由として付替道路用地として必要である旨説明されるとともに、本件隧道が本件(一)、(二)各土地を含む旧峰岡町三八一番二一の土地の下を通過する予定である旨の説明を受けた。

結局、原告鈴木清壽は、同年一二月一〇日右買収に調印し、右付替道路用地として旧峰岡町三八一番二一の土地の一部を分筆して被告に売却し、同月一三日その旨の所有権移転登記を経た。

(5) 他方、建設省は、訴外公社が本件(三)ないし(五)の各土地を含む本件隧道上付近の土地を所有し、同所で住宅計画を推進していたことを知り、右住宅計画の内容を検討した上で右計画に支障を及ぼさないよう横浜新道の工事計画を作成した。しかし、昭和三二年四月ころ、須田ら用地担当者が具体的交渉を開始したところ、訴外公社から、建設省の工事計画には基本的に同意するが、同公社の住宅計画に対して分譲面積及び戸数の減少等の影響を及ぼさないでほしいと要請された。そこで、須田らは訴外公社に本件隧道の構造図及び用地買収図を示し、本件(三)ないし(五)の各土地に関しては、同公社の分譲計画に影響を及ぼさないように隧道を掘る旨説明した。訴外公社は、建設省の右説明を聞いて本件隧道工事着工を了承し、本件隧道部分につき補償要求又は地上権設定等の要求をしなかった。

(6) 建設省は、昭和三二年七月三一日請負業者との間で、本件隧道工事を含む横浜新道第一工区につき工事請負契約を締結し、昭和三二年九月ころ本件隧道の導坑掘削工事に着手した。

原告鈴木清壽は、右工事期間中に工事事務所に対し自宅の井戸水の水位低下を訴え、その際、建設省から右補修に代えて水道の取付、配管の補償工事を受けたが、この件を除き、本件隧道が本件(一)、(二)各土地の地下を通過することにつき、工事事務所に対し抗議したり補償を求めたりしたことはなかった。

以上の事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠なない。

(二)  右認定事実によれば、原告鈴木清壽は昭和三一年ころには建設省の職員が本件(一)、(二)各土地を測量していたことを了知していたこと、同三二年五月の工事説明会及びこれに続く付替道路用地の買収交渉の過程において、半永久的構造物である本件隧道が自己所有地である本件(一)、(二)各土地の地下を通過することを認識しながら、特に異議を述べずに同年一二月一〇日右用地買収に同意したこと、本件隧道工事中も井戸水の水位低下の件以外には建設省に抗議したり補償を求めたことはないことが認められ、これらの事実を総合すれば、原告鈴木清壽は建設省に対し、遅くとも昭和三二年一二月一〇日までには、本件隧道工事の施工及びこれに伴う本件(一)、(二)各土地の地下利用について承諾していたと認めるのが相当である。

2  本件(三)ないし(五)の土地について

(一)  訴外公社が遅くとも昭和三二年四月ころまでには建設省に対し、本件(三)ないし(五)各土地の所有者として、本件隧道工事の施工及び右各土地の地下利用について承諾を与えていたことは前記1で認定したとおりである。

しかし、原告野村誠之、同長野實、同安井常義、同菅原正、同日下部治郎、同山本政男、原告三好ら先代三好猛雄、原告竹谷み子先代竹谷勇、訴外岡島辰興及び同斎藤栄勝(以上の一〇名の者を以下「原告野村ら」という。)が訴外公社から本件(三)ないし(五)の各土地の分譲を受けるに際し、被告又は建設省に対し右の施工等につき明示の承諾を与えていたことを認めるに足りる確たる証拠はない。

(二)  ところで、被告は、原告野村らが本件隧道の存在を知りながら本件(三)ないし(五)各土地を取得したと主張するところ、右主張中には、これらの原告らが本件隧道工事の施工又はその所有土地の地下利用について黙示の承諾ないしは追認をした旨の主張が含まれると解されるので、以下この点につき検討する。

〈書証番号略〉並びに証人竹谷洋、同須田政男及び同杉崎治の各証言、原告野村誠之及び同三好八岑各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。

(1) 訴外公社は、昭和三一年一二月ころ本件(三)ないし(五)各土地付近の宅地造成工事を完了し、昭和三二年三月二八日長野實に、同年四月二〇日訴外山本鹿之助に、同月三〇日原告安井常義にそれぞれ土地を分譲したほか、右分譲地上に八軒の家屋を建築し、同年一二月ころから昭和三三年三月ころまでの間に原告野村誠之、訴外三好猛雄、同竹谷勇ら八名に土地付家屋を分譲した。その際、分譲地内の道路は分譲地購入者が全員で共有する約定になっていた。

(2) 本件隧道工事は、昭和三二年九月ころ導坑掘削工事に着手され、約半年後に導坑が完成した。原告野村誠之は昭和三三年一月ころ導坑の存在に気付き、他方、原告三好八岑は同年三月ころには山麓で工事が行われているのに気付いていた。その後、保土ケ谷陸橋の橋脚工事及び本件隧道の試掘坑の拡張工事が開始され、同年七月ころにおける工事の進捗状況では、本件隧道の東京側出口がほぼ完成の域に達していた。

(3) 原告野村、同三好八岑、同岡島及び同竹谷は、昭和三三年春から夏ころにかけて、各居宅の下方から本件隧道工事により生じる発破音及び振動が昼夜を問わず響いてくるのを体感し、原告竹谷宅では振動により家の壁にひびが入るほどであった。また、原告らは横浜新道の工事期間中、工事の都合で帰宅の道筋が度々変更されたり、道路が工事のために掘り返されて歩行が困難である等の不便を生じたことから、遅くとも同年秋ころには本件(三)ないし(五)各土地周辺の地下に本件隧道を含む道路が貫通することを認識していた。

(4) 原告三好宅、同野村宅及び分譲地内の道路である本件(五)土地から南方への眺望によれば、南方から北方に向う横浜新道が同原告ら宅のほぼ真下に向って伸長していることを認めることが可能であり、また、原告ら宅の近くにある峰岡橋から原告ら宅の方角への眺望によれば、本件隧道が本件各土地のほぼ真下を通っていることを看取することが容易である。

(5) 原告野村らは、横浜新道の供用が開始された後も、夜中に本件隧道をトラック等の大型車が通る音及び振動が居宅の下方から響くのを度々体感したほか、原告ら宅から真下に横浜新道が見えること等から見て、本件隧道が本件(三)ないし(五)各土地の地下を通過していることを了知していたが、この点につき売主である訴外公社に抗議を申入れた形跡はない。また、原告野村らは、被告又は建設省に対しても、被告が昭和五八年七月横浜新道の拡幅計画(ただし、当初の計画は本件各土地を買収したうえで、同地を地表から掘削して本件隧道を取壊し、拡幅後は隧道ではなく切通しにする予定であった。)を発表するまでは、自己所有地の下を本件隧道が通過していることにつき抗議したり、補償を求めたりしたことはなかった。

(6) 原告らは、昭和五八年七月ころ、被告が本件隧道の拡幅を計画していることを知り、右拡幅によってその所有地が買収されること及び、拡幅に伴う交通量の増加により通過車輌による騒音、大気汚染等の影響が増大することをおそれ、対策協議会を結成して拡幅反対運動を行うとともに、本訴を提起するに至った。

以上の事実が認められる。

もっとも、原告三好八岑は、原告らは昭和五八年七月以降、峰岡町三丁目付近の航空写真を撮影して、横浜新道及び原告らの居宅の位置を特定し、右写真をもとに図面を作成して初めて本件隧道の正確な位置を把握したものであるから、それまでは本件隧道の位置を正確に知らなかった旨供述するが、そもそも、本件隧道と本件各土地の位置関係については蓋然性の認識があれば足りると解せられるところ、前記認定事実によれば、原告らは既に昭和三四年ころから本件隧道のおおよその位置を把握し、本件隧道がおおむね本件各土地の地下を通過している旨の認識を有していたものというべきであるから、たとえ原告らが航空写真に基づく図面を作成するまで本件隧道の正確な位置を把握していなかったとしても、これをもって、原告らが本件隧道の存在を知らなかったということはできない。

(三)  右認定の事実によれば、原告野村らは、昭和三二年から昭和三三年三月ころまでの間に、訴外公社から本件(三)ないし(五)各土地の分譲を受けた者であり、遅くとも被告が横浜新道の供用を開始した昭和三四年一〇月二八日までには、本件隧道がおおむね本件(三)ないし(五)各土地の地下を通過していることを認識していたにもかかわらず、売主である訴外公社に抗議したり、代金の減額を求めたりした形跡はないだけでなく、被告又は建設省に対しても、被告が昭和五八年七月ころ横浜新道の拡幅計画を発表するまで、約二四年間にわたって本件隧道が本件各土地の地下を通過していることについて抗議したり、補償を請求したことはなかったことが認められ、これらの事実を総合すると、原告野村らは、横浜新道の供用が開始されたころには、本件隧道が本件(三)ないし(五)各土地の地下を通過することを受容していたものと推認するのを相当とする。そうすると、原告野村らは遅くとも昭和三四、五年ころまでには、被告の本件隧道設置及び地下使用につき黙示による承認をしたか又はこれを追認していたものというほかはない。

(四) 次に、前記一1で認定した事実によれば、原告瀧川昇一、同鈴木通義及び同大澤三千尋が本件(五)土地(分譲地内の道路)の持分を取得したのは昭和五三年ころであることが認められるが、右事実に前記認定事実を考慮すると、右原告らは本件隧道が本件各土地の地下を通過している蓋然性のあることを知りながら、そのような負担付の土地であることを受容して本件(五)土地の持分を取得したものと認めるのが相当である。

3  そうすると、原告らの本訴各請求中、本件各土地の地下所有権侵害に基づき損害の賠償を請求する部分は、理由がない。

四道路公害について

1  横浜新道を通行する車輌に起因する騒音・振動が原告ら居住家屋に波及し、影響を及ぼしている事実は、被告もこれを認めて争わない。

原告らは右騒音・振動等が受忍限度を上回るものである旨主張するのに対し、被告はこれを争うので、以下この点について判断する。

2  受忍限度について

(一)  原告らは、受忍限度の判断に当たっては、騒音及び大気汚染物質についての各環境基準並びに騒音及び振動についての各要請限度が基準となる旨主張する。しかし、環境基準は公害対策基本法九条一項に基づき「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」として定められた公害防止行政上の達成目標であり、要請限度は騒音規制法一七条一項及び振動規制法一六条一項に基づき、その限度値を超えていることにより道路周辺の生活環境が著しく損なわれていると認められるときに、都道府県知事が都道府県公安委員会や道路管理者に対し相当な措置をとるべきことの要請を行うべき基準値としての意味を有するものにすぎないから、そのまま損害賠償請求訴訟における受忍限度を意味するものではなく、受忍限度に関する原告らの右主張は採用できない。

(二)  当裁判所は、受忍限度を判断するに当っては、①侵害行為の態様と侵害の程度、②被侵害利益の性質と内容、③地域特性、④侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度を検討するほか、⑤侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況、⑥その間に採られた被害防止に関する措置の有無及びその内容、効果等の諸事情を考慮し、これらを総合的に考察して決定すべきであると解する。

3  そこで右2(二)の判断基準に従って、以下本件において、受忍限度を上回る被害が存在するか否かについて検討する。

(一)  被害又は影響の程度

(1) 交通量

横浜新道の交通量が昭和四〇年代以降増大したことは当事者間に争いがなく、〈書証番号略〉によれば、横浜市公害対策局(以下「公害対策局」という。)が昭和五八年一〇月二〇日午前一〇時から翌二一日午前九時にかけて横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目四〇六番付近で行った調査によれば、同所付近における横浜新道の交通量は上下線合計一日約一一万六〇〇〇台であり、大型車(大型貨物自動車、バス)混入率は、上下線ともに約一七パーセントであったことが認められる。

(2) 大気汚染

イ 二酸化窒素

〈書証番号略〉によれば、

(イ) 公害対策局が昭和五八年九月一六日から一〇月二五日にかけて本件隧道南側の峰岡町三丁目四〇六番付近(別紙添付図面(二)①②③の各地点)で施行した二酸化窒素の測定結果は、別表A―1のとおりであり、同局が昭和六二年七月九日から同月一七日にかけて②地点で行った同様の測定結果は、別表A―2のとおりである。

(ロ) 昭和五八年の右測定結果は、横浜市内全域に配置されている一般環境大気測定局(以下「測定局」という。)一五局における測定値と比較した限りでは、平均値、一時間値の最高値ともに高水準にあるが、市内幹線道路沿道八か所に設置されている自動車排出ガス測定局(以下「沿道局」という。)における測定値と比較すると、右の測定結果は中程度に位置し、必ずしも高いとはいえない。

(ハ) 原告ら横浜新道沿道の住民等で組織された横浜新道拡幅対策協議会は、昭和五八年八月二八日から九月三日の七日間、及び昭和六二年一二月一日から同月七日の七日間、小形アルカリ濾紙法(薬液を染み込ませた長さ五六ミリメートル、幅二〇ミリメートルの濾紙をプラスチック製円筒形カプセルに収納して二四時間大気中に晒す方法)により本件地区周辺における大気中の二酸化窒素の濃度を測定(〈書証番号略〉、以下「原告ら調査」という。)したところ、原告ら宅の大気中の二酸化窒素濃度は、別表A―1及び2の測定点の一つである②地点(市道と横浜新道との交差点付近の地点)の値と比較してほぼ同程度か又はそれ以下であった。

以上の事実が認められ、これによれば、本件地区周辺の大気中の二酸化窒素濃度は、横浜市内の他の幹線道路沿道地域と比較して高水準にあるとはいえないこと、本件地区周辺の右二酸化窒素濃度の日平均値は概ね環境基準値を下回っていると認められること、右の値は昭和五八年から昭和六二年の間ではやや減少の傾向にあることが認められる。

なお、原告ら調査の結果によれば、原告野村宅における二酸化窒素量の日平均値が七日中四日、環境基準である0.06ppmを超え、0.10ppmを超えた日もある旨の記載部分があるが、同調査は環境基準所定の測定方法ではなく簡易な方法を用いていること、及び昭和六二年七月に実施された横浜市調査の結果と比較して②地点における二酸化窒素濃度に二倍以上の開きがあることから、季節的要因を考慮しても、精度に問題があるとの疑を払拭することができず、原告ら調査の値自体を直ちに判断資料とすることは相当ではない。

ロ 浮遊粒子状物質

前掲〈書証番号略〉によれば、公害対策局が昭和五八年一〇月三日から同月七日にかけて前記②地点において施行した浮遊粒子状物質の測定結果は別紙B―1のとおりであり、環境基準値を下回っていることが認められる。

(3) 騒音・振動

イ 騒音

〈書証番号略〉によれば、本件地区周辺(別紙添付図面(二)②④⑤の各地点)の騒音レベルは、公害対策局の昭和五八年における道路交通騒音測定結果によれば別紙C―1、昭和六二年七月における測定結果によれば別紙C―2のとおりであって、原告三好宅において環境基準を超える騒音が測定されていること、しかし公害対策局の横浜市内における自動車騒音等の測定結果によれば、原告三好宅の騒音の程度は、横浜市内の各測定局及び沿道局における騒音値と比較して中位の部類に入り、必ずしも高水準にあるとはいえないこと、本件地区周辺の騒音レベルは、昭和五八年から同六二年までの間、ほとんど横ばいの状態にあることが認められる。

ロ 振動

〈書証番号略〉によれば、公害対策局が昭和五八年九月五日から六日にかけて横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目四〇六番付近(別紙添付図面(二)⑥地点)において実施した振動測定結果は別紙D―1のとおりであり、昼間・夜間の時間帯ともに要請限度の値以下であることが認められる。

(二)  原告らの被害

(1) 生活妨害

証人竹谷洋及び同安井真司の各証言並びに原告野村誠之及び同三好八岑各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、原告らは横浜新道通過車輌から発生する騒音、振動による影響のほか、排ガスによって、洗濯物や網戸が汚染したり、道路側の植木が枯れる等の被害を受けたとして、右騒音、振動のほか、排ガスに対し強い不快感、迷惑感を抱いていることが認められる。

(2) 健康被害

本件においては、横浜新道の通過車輌から発生する排気ガスにより、原告ら又はその家族に健康被害が生じている旨の個別的・具体的な主張、立証はない。却って、証人安井真也の証言及び原告三好八岑本人尋問の結果によれば、同人らの家族中には公害による病気に罹患している者はいないことが認められる。もっとも、原告らは、本件地区の住民には横浜新道通行車輌から発生する排気ガスにより「峰岡ゼンソク」と称する喘息症状等の健康被害が発生している旨主張し、その立証として、横浜新道拡幅対策協議会が昭和五八年八月二八日から九月三日にかけて峰岡町周辺の住民二八〇名を対象に行ったアンケート調査の結果(〈書証番号略〉、以下「本件アンケート調査」という。)を提出するが、〈書証番号略〉によれば、本件アンケート調査の結果は別紙E―1、2のとおりであり、これによれば、本件地区周辺の住民に同別紙記載①ないし⑧の各愁訴が存在することが認められるものの、一方、右結果は二酸化窒素濃度の高い横浜新道沿道のE・F各地区と比較して、沿道から約二〇〇メートル離れ二酸化窒素濃度が0.04ppm以下であるA・B各地区の方が高い愁訴率を示している等、その有意性に疑問があるから、本件アンケート調査の結果だけから、原告ら本件地区周辺の住民に、横浜新道通過車輌の排気ガスに起因する呼吸器系統の疾病等の健康被害が発生しているとまでは認めることができない。また、右証拠は、原告ら又はその家族に原告ら主張の健康被害が生じていることを具体的に証明するものでもない。

(三)  横浜新道の公共性

前記二1及び四2(一)(1)の事実に弁論の全趣旨によれば、横浜新道は一般国道一号線のバイパスとして建設され、昭和三四年一〇月二八日供用開始されたものであるが、昭和四〇年代ころから急激に交通量が増大し、現在では横浜市の最重要幹線道路網を形成するとともに一日一一万台以上の自動車が通行していること、被告は横浜新道の交通量の増大に対処するため、本件隧道付近の拡幅を計画中であることが認められる。右事実によれば、横浜新道は横浜市以西の地域における交通及び物流の手段として、現時点では他に代替性がないほど重要な役割を果しているものであり、道路としての公共性が極めて高いことが認められる。

(四)  被害防止措置

〈書証番号略〉並びに証人竹谷洋及び同安井真也の各証言、原告野村誠之及び同三好八岑各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、被告は昭和五八年一一月ころ、本件地区周辺の沿道住民の要請に基づき、本件隧道南側出口上及びその南側の横浜新道両脇にアルミ合金製の遮音壁を設置したが、右遮音壁の効果は、壁より高い場所に居住する原告ら宅には及び難いため、原告ら宅においては騒音の顕著な低下は認められていないこと、しかし、被告は、現在推進中の横浜新道拡幅計画においても、大気汚染及び騒音対策について、更に被害防止措置を講じることを検討していることが認められる。

4  以上認定した各事実を併せ考えると、横浜新道の通過車輌から発生する大気汚染、騒音、振動により原告らが被る侵害の程度は昭和五八年ころから同六二年ころまでほぼ横ばいの状況にあり、振動については要請限度を達成し、騒音の程度は横浜新道に接する②地点を除いては横浜市内の測定局及び沿道局における数値と比較して中程度であること、大気汚染のうち浮遊粒子状物質は市内でも中程度であり環境基準値をも下回っていること、二酸化窒素については市内の主要幹線道路沿道では中程度であること、原告らが被る大気汚染、騒音の程度は距離減衰の影響により②地点よりも緩和されること、原告らの被侵害利益の内容は生活妨害及び不快感、迷惑感等の情緒的影響にとどまり、未だ生命・身体に対する具体的危険が存在するとまでは認められず、右事情に加えて、横浜新道の公共性が極めて高度であること、被告が少なくとも騒音に関しては沿道住民の要請に従って被害防止措置をとり、今後の拡幅計画においても大気汚染及び騒音に関し同様の対策を検討していること等諸般の事情を考慮すると、原告が横浜新道の供用により被っている侵害が、受忍限度を超え違法であるとまでいうことはできない。

5  したがって、その余の事実を考慮するまでもなく、原告らの被告に対する横浜新道の道路公害に基づく損害賠償請求には理由がない。

五以上の次第で、原告らの本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官羽田弘 裁判官横田麻子裁判長裁判官渡辺剛男は、転補につき署名捺印することができない。裁判官羽田弘)

別紙物件目録

(一) 所在 横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目

地番 三八一番二一

地目 宅地

地積 809.93平方メートル

(二) 所在 横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目

地番 三八一番六五

地目 宅地

地積 115.67平方メートル

(三) 所在 横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目

地番 三八一番四五

地目 宅地

地積 402.44平方メートル

(四) 所在 横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目

地番 三八一番四六

地目 宅地

地積 534.84平方メートル

(五) 所在 横浜市保土ケ谷区峰岡町三丁目

地番 三八一番六二

地目 雑種地

地積 五三九平方メートル

別紙区分所有権目録

(一) 別紙物件目録記載(一)の土地のうち、

O 昭和四三年建設省告示第三〇五九号「測量法第一一条第二号に定める測量基準のうち位置についての平面直角座標を指定」に規定する平面直角座標系(第九系)原点からの距離であるX座標、同Y座標、測量法施行令(昭和二四年政令第三二二号)第二条第二項に規定する日本水準原点を基準とする高さである標高、各((一)五九、四七七m、(一)二一、五九六m、25.32m)(以下、同様とする。)

P ((一)五九、四七八m、(一)二一、五九六m、25.31m)

R ((一)五九、四八八m、(一)二一、六一〇m、24.85m)

S ((一)五九、四八一m、(一)二一、六二三m、24.86m)

M ((一)五九、四五八m、(一)二一、六一三m、25.60m)

L ((一)五九、四五七m、(一)二一、六〇九m、25.68m)

N ((一)五九、四六二m、(一)二一、六〇七m、25.58m)

O ((一)五九、四七七m、(一)二一、五九六m、25.32m)

の各点を順次結ぶ面を底面とする垂直方向の高さ6.5mの立体部分。

(二) 別紙物件目録記載(二)の土地のうち、

L ((一)五九、四五七m、(一)二一、六〇九m、25.68m)

M ((一)五九、四五八m、(一)二一、六一三m、25.60m)

K ((一)五九、四五五m、(一)二一、六一一m、25.71m)

L ((一)五九、四五七m、(一)二一、六〇九m、25.68m)

の各点を順次結ぶ面を底面とする垂直方向の高さ6.5mの立体部分。

(三) 別紙物件目録記載(三)の土地のうち、

C ((一)五九、四三五m、(一)二一、五七五m、26.73m)

B ((一)五九、四三五m、(一)二一、五七五m、26.72m)

I ((一)五九、四五六m、(一)二一、五八六m、26.03m)

H ((一)五九、四三九m、(一)二一、六〇三m、26.26m)

G ((一)五九、四三九m、(一)二一、六〇二m、26.27m)

F ((一)五九、四三七m、(一)二一、六〇〇m、26.33m)

E ((一)五九、四三六m、(一)二一、五九九m、26.38m)

D ((一)五九、四二六m、(一)二一、五九一m、26.77m)

C ((一)五九、四三五m、(一)二一、五七五m、26.73m)

の各点を順次結ぶ面を底面とする垂直方向の高さ6.5mの立体部分。

(四) 別紙物件目録記載(四)の土地のうち

I ((一)五九、四五六m、(一)二一、五八六m、26.03m)

O ((一)五九、四七七m、(一)二一、五九六m、25.32m)

N ((一)五九、四六二m、(一)二一、六〇七m、25.58m)

L ((一)五九、四五七m、(一)二一、六〇九m、25.68m)

K ((一)五九、四五五m、(一)二一、六一一m、25.71m)

H ((一)五九、四三九m、(一)二一、六〇三m、26.26m)

I ((一)五九、四五六m、(一)二一、五八六m、26.03m)

の各点を順次結ぶ面を底面とする垂直方向の高さ6.5mの立体部分。

(五) 別紙物件目録記載(五)の土地のうち、

A ((一)五九、四三七m、(一)二一、五七二m、26.71m)

J ((一)五九、四六二m、(一)二一、五八三m、25.91m)

Q ((一)五九、四八三m、(一)二一、五九四m、25.19m)

P ((一)五九、四七八m、(一)二一、五九六m、25.31m)

O ((一)五九、四七七m、(一)二一、五九六m、25.32m)

I ((一)五九、四五六m、(一)二一、五八六m、26.03m)

B ((一)五九、四三五m、(一)二一、五七五m、26.72m)

A ((一)五九、四三七m、(一)二一、五七二m、26.71m)

の各点を順次結ぶ面を底面とする垂直方向の高さ6.5mの立体部分。

別紙横浜新道栗ノ沢袴道橋地点交通量調査〈省略〉

別紙請求金額内訳明細書〈省略〉

別紙使用料相当損害金一覧表〈省略〉

別紙土地の形状変更等による損害金一覧表〈省略〉

別紙環境破壊等による損害金一覧表〈省略〉

別紙添付図面二〈省略〉

別紙A−1ないしE−2〈省略〉

別紙平面図〈省略〉

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